「事業再構築補助金に応募しようと思うけど、当社は応募できるのかな?」
「事業再構築補助金に応募する際の注意事項ってなに?」
そんな疑問をお持ちの経営者の方々のために、事業再構築補助金の応募に関して解説しました。
この記事では
- 事業再構築補助金(第7回)の概要
- 事業再構築補助金に応募する際の注意点
について説明します。
事業再構築補助金(第7回)の概要
事業再構築補助金とは、国が中小企業(中堅企業含む)や小規模事業者などに対して、
「ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すこと」
を目的スタートしました。
これに加え、
第6回からは「グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に重点的に支援」
第7回からは「原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響により業況が厳しい中小企業等が行う、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、危機に強い事業への事業再構築の取組に対し、重点的に支援」
と支援範囲が広がってきております。
これに伴い申請要件や申請枠、採択の可能性が高まる加点ポイントの内容も変化してきておりますので、最新の公募要領をよく確認することは必要です。
とは言え、50ページ以上の公募要領を読み込むのは大変ですので概要を下記の通り記述しますのでご参考にしてください。
【第7回 事業再構築補助金の概要】
<公募期間>
令和4年7月1日(金)~令和4年9月30日(金) 18時まで
(採択発表時期は11月下旬から12月上旬の予定)
<補助対象要件>
①2020年 4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は 2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること(付加価値額の減少でも可)
②経済産業省 が示す「事業再構築指針」 に沿った 3~5 年の 事業計画書 を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること。
※詳細の事業再構築指針は「事業再構築指針の手引き」を参照すれば確認できます。
※「事業再構築指針の手引き」を参照するのはちょっと・・・と言う方もおられると思いますので、単に説明すると、次の5つの類型のどれかに該当し、その必要となる要件に沿った事業計画書を作成しなければなりません。
※上記要件を計画書に示す内容は次の通りです。
製品(商品)等の新規性要件 | ①過去に製造等した実績がないこと、②製造等に用いる主要な設備を変更すること、 ③定量的に性能又は効能が異なること(※1) |
市場の新規性要件 | 既存製品等と新製品等の代替性が低いこと |
新事業売上高10%等要件 | 新たな製品等の(又は製造方法等の)売上高が総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となること |
売上高構成比要件 | 新たな製品等の属する事業(又は業種)が売上高構成比の最も高い事業(又は業種)となること |
製造方法等の新規性要件 | ①過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと、②新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること(※3)、 ③定量的に性能又は効能が異なること(※2) |
設備撤去等要件 | 既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの |
組織再編要件 | 「合併」、「会社分割」、「株式交換」、「株式移転」、「事業譲渡」等を行うこと |
その他の事業再構築要件 | 「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」又は「業態転換」のいずれかを行うこと |
(※1,2)製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限って必要
(※3)回復・再生応援枠は除く
<応募枠>
応募枠は次の6つがあり、その申請枠の主旨に沿った事業計画を作成する必要があります。
申請枠名 | 概要 |
通常枠 | 新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援 |
大規模賃金 引上げ枠 | 多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援。 |
回復・再生 応援枠 | 新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援。 |
最低賃金枠 | 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援。 |
グリーン 成長枠 | 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援。 |
原油価格・物価高騰等緊急対策枠 | 原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援。 |
<補助金の額と補助率>
応募した枠ごとに次の補助金額と補助率が設定されています。
申請する枠によって条件(補助金額、補助率等)が大きく異なりますので、資金調達面からどの申請枠でエントリーするか検討が必要になります。
【通常枠】
- 補助率:
- 中小企業等 2/3(補助金額が6000万円超の部分は1/2)
- 中堅企業等 1/2(補助金額が4000万円超の部分は1/3)
- 補助金額:
- 従業員数20人以下:100~2000万円
- 従業員数21~50人:100~4000万円
- 従業員数51~100人:100~6000万円
- 従業員数101人以上:100~8000万円
【大規模賃金引上枠】
- 補助率
- 中小企業等 2/3(補助金額が6000万円超の部分は1/2)
- 中堅企業等 1/2(補助金額が4000万円超の部分は1/3)
- 補助金額:
- 従業員数101人以上:8000万円~1億円
【回復・再生応援枠】【最低賃金枠】
- 補助率:
- 中小企業等 3/4
- 中堅企業等 2/3
- 補助金額:
- 従業員数5人以下:100~500万円
- 従業員数6~20人:100~1000万円
- 従業員数21人以上:100~1500万円
【グリーン成長枠】
- 補助率:
- 中小企業等:1/2
- 中堅企業等:1/3
- 補助金額:
- 中小企業等:100~1億円
- 中堅企業等:100~1.5億円
【原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)】
- 補助率:
- 中小企業等:3/4
(従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3) - 中堅企業等:2/3
(従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は1/2)
- 中小企業等:3/4
- 補助金額:
- 従業員数5人以下:100~1000万円
- 従業員数6~20人:100~2000万円
- 従業員数21~50人:100~3000万円
- 従業員数51人以上:100~4000万円
※中堅企業とは中小企業に該当しない規模の企業で出資金(資本金)が10億円未満の企業を指します。(資本金や出資金の総額の定めがない企業は常勤従業員数が2,000名以下の企業です。)
詳しくは公募要領を参照ください。
応募に関する注意点
要件不備で不採択になる企業が多いようです。
具体的には、コロナ以前と比べて売上減少を証明する資料として提出した法人概況説明書の金額が間違っている場合などがあります。
確定申告の書類なので間違いないと思い込んでいると、書類不備になる可能性がありますので、内容を確認し、誤記がある場合は税理士に売上証明書を作成し提出するようにしてください。
また、計画書に記載されている製品等の新規性要件や市場の新規性要件の内容が審査員には既存品のマイナーチェンジにしかとらえられず要件不備になる場合が多いようですので、明確に既存品や既存の市場と異なるものであると記述することを心得えなければいけません。
まとめ
設備投資など大きな資金が必要な際には補助金の活用は有効ですが申請するに際し、申請要件に該当しているか?しっかり確認しなければなりません。
そのためにはページ数が多いですが、しっかりと公募要領を熟読し、内容を把握した上で申請を検討する必要があると言うことです。
本ページでも公募要領のすべてを記述できてはおりませんので、実際に申請を検討される際には公募要領をしっかり確認してください。