企業の売上向上のために重要なのが新規の顧客開拓。
しかし、「営業を頑張っているのに契約がとれない」「電話営業したら怒られた」といった悩みを抱えていませんか?
新規開拓営業がうまくいかない場合、営業手段の見直しや話し方などを見直してみる必要があります。
この記事では、営業を受ける側の人が、どのような営業に不快感をもち、どのような営業なら「聞いてみよう」と思うのか、実際に起きている話も含めて説明しています。
お客様に「この人なら信用できる!」と思われる営業をして、営業成績をあげていきましょう。
新規開拓営業のメリット
一般的に既存顧客を維持するほうが、新規顧客を開拓するより簡単です。
そのため、一度捕まえた顧客にリピーターになってもらい、自社製品・サービスをより多く購入してもらうことは非常に重要です。
しかしどんな有能な営業でも既存顧客の流出を0にすることは難しいでしょう。
また、特定の商材や業種ではそもそもリピート購入が難しいものもあります。
新規開発営業をして、新規顧客を獲得するメリットは以下です。
- 顧客数を増やすことで、売上増加できる
- 特定のユーザーや顧客への依存度さげることで、リスクを分散させるため
- 新たなニーズや市場情報を得られる機会が増える
次に具体的な実施方法を解説します。
新規開拓営業10の方法
いつもどのような方法で営業を行っていますか?
新規営業の方法には多くのルートがあり、営業がうまくいかない時はルートそのものを見直すことも大切です。
電話・FAX営業
昔からよくある営業方法として、電話営業・FAX営業というものがあります。
ただ、新規の電話営業は印象がよくないので、あまり推奨していません。
特に相手が店舗オーナーの場合、営業時間内にお店の電話に連絡するというのは非常に嫌がられます。
店舗にとってその電話番号は、お客様からの予約や問い合わせを受けるための回線。
その電話回線をつかって営業をするということは、その間にかかってきているお客様からの電話が受けられないということになります。
「営業電話は営業妨害そのもの」と怒るオーナーも多いです。
電話営業した際に一方的に切られる、怒られるという人は、営業方法そのものを見直す必要があるでしょう。
飛び込み営業
会社や店舗に直接伺う飛び込み営業も新規開拓営業としてよくある手段です。
飛び込み営業も電話営業と同様に、タイミングによっては嫌がられるため注意が必要です。
忙しい時間に営業にいくと、第一印象が悪くなりその後の展開は望めません。
飛び込み営業の時の第一印象をよくするための注意点については、次の見出しで詳しく説明しています。
メール営業
最近は、会社や店舗のホームページにお問い合わせページがあるため、そこからメールするという方法も一般的になってきました。
メール営業であれば、相手が手の空いた時に見てくれるので、「こんな時間に迷惑だ!」と言われる心配はありません。
しかし、メール営業も注意が必要で、テンプレートのようなメールはかえって印象が悪くなります。
ネットを検索すると、「営業メールのテンプレート」というものがたくさん見つかります。
「〇〇」の箇所を自社のサービスに置き換えれば、それらしい営業メールになるのですが、多くの会社がそのようなテンプレートを使っているため印象にも残りません。
「なぜ、御社にメールしたのか。」を自分の言葉で書くことで誠実さや真剣さが伝わります。
また、数打ち当たれ方式で見込み客にメールを送っている場合、同じ会社に何度も同じメールを送っている場合があります。
「まったく同じ内容で、毎回「はじめまして」から始まるメールが3回も来た」という話を聞いたことがありますが、相手からすると「御社は誰彼かまわずメールしてるよね?」という印象になってしまいます。
メール越しでも、読んでいるのは1人の人間。
その人に向けて誠意のあるメールを送ることが、メール営業には必須です。
プレスリリース
直接会社やお店に行くのではなく、マス向けに発信することで新規開拓を狙うことができます。
その1つがプレスリリース。
「A社は、このようなサービスをリリースしました!」というお知らせです。
自治体の記者クラブに投げ込みをしたり、プレスリリース用のメディアに投稿することで、メディア関係者に見てもらい、テレビや記事で紹介してもらうという方法です。
そのメディアを通して、自社サービスの認知拡大と見込み客からの問い合わせが期待できます。
広告運用
雑誌や新聞などに広告掲載しようと思うとかなり高額になりますが、SNS広告やグーグル広告、YouTube広告を活用すると1日500円程度から広告を回すことができます。
広告の目的にもよりますが、ターゲットをしっかり選定することで少ない予算で大きな効果を期待できます。
たとえばインスタ広告で1日500円で運用したとしても、1日に1000〜2000人程度にリーチができます。(ジャンルや目的によって変動あります)
地域やジャンルを限定することもできるため、ローカルビジネスにも活用できます。
自社のサイト・YouTube運営
自社でサイトやYouTubeを運営し、自社のサービスを紹介することで、そのサービスを探している人からの問い合わせが期待できます。
たとえばあなたが食材卸しの会社で働いていたとします。
見込み客となるのは、飲食店やスーパーでしょう。
飲食店オーナーにとって、食材の仕入れは大事なことなので「京都 食材 仕入れ」といったキーワードでネット検索することが予想されます。
その時に、あなたの会社のサイトが検索結果で表示されることで、相手から問い合わせがくる可能性が高まります。
相手は食材を卸してくれる会社を探しているので、新規契約までスムーズにすすむことでしょう。
数打ち当たれの飛び込み営業と比較しても、効率的な営業方法といえます。
近年では特にBtoBビジネスにおいて、自社サイトからお役立ち資料のダウンロードに誘導し、その条件として顧客情報を獲得する会社が増えています。
問い合わせよりも資料ダウンロードのほうが、件数自体は多く、ハードルも低いためです。
顧客情報を獲得した後は、
- メール・電話での営業活動
- セミナーへの案内
- メルマガでの継続的なアプローチ
と組み合わせ、顧客獲得を図ります。
SNS運用
最近はSNSを運用する会社も増えてきました。
SNSで商品やサービス探しをしているのはtoCのお客様だけではありません。
いろんな企業に務める社員や、新聞記者、メディア関係者もSNSを見ているものです。
ある食品ブランドを運営している社長は、toC向けに商品の紹介や、新商品開発の裏話などをSNSで発信していました。
ある日、大手スーパーのバイヤーと商談する機会があったのですが、商品を見た瞬間に「この商品見たことある!気になってたんですよ!」と言ってくださり、その場で契約が成立しました。
さらに、新商品開発の過程を新聞記者の方が見てくれており、新商品リリースの際に記者の方から取材の問い合わせがきました。
SNSで自社のサービスや商品をアピールすることで、今までなら知ってもらえることのなかった人達に情報を届けることができます。
そして事前に、自社の存在を知ってもらえていることで、飛び込み営業した場合でも「なんか知ってる」という感覚によって邪険にされることはありません。
電子書籍出版
見込み客にとって役立つ情報をまとめた電子書籍を出版することで、見込み客からの問い合わせが期待できます。
電子書籍は誰でも無料で出版することができ、アマゾンのプラットフォームで販売できます。
たとえば、あなたがお酒の卸しをしているとしたら、「飲食店オーナー必見!利益率が上がるメニューの作り方」といった本を出すと、これから飲食店開業を考えている人が読む可能性があります。
その本のなかで、自社サービスの紹介もすることで、そのまま問い合わせに繋がりやすくなります。
セミナー開催
電子書籍と同様に、見込み客にとって役立つセミナーを行うことで、見込み客からの問い合わせにつなげることができます。
投資セミナーや戸建て購入セミナー、社員のためのマナーセミナーなど、多様なセミナーがありますが、そういったものを開催し見込み客にリーチすることを目指します。
近年WEBセミナーが非常に増えていて、セミナー自体は無料で開催し、製品に興味をもってもらってから直接アプローチをする企業も多いです。
セミナーを聞いた後にもっと聞きたいと思っている見込み客は、通常のアプローチよりも成約率が高く、非常に効果的な方法でしょう。
展示会出展
サービスを探している人と、自社のサービスを知ってほしい人がマッチングするための展示会に出展してみるのもいいでしょう。
通常であれば繋がれない企業とも出会える可能性が高いです。
ネットで検索してみると、展示会出展募集情報を見つけることができます。
新規開拓が成功する8つのポイントと注意点
良かれと思ってやっていることや、営業ノウハウとして広まっている方法が、実は相手から迷惑と思われている営業方法も少なくありません。
新規開拓営業する際に、意識したいポイントや注意点も紹介します。
相手の営業時間や忙しい時間に注意する
電話営業や飛び込み営業をする際は、伺う時間に細心の注意を払いましょう。
もし事前に訪問できるなら、お客さんとしてお店に行き、落ち着いている時間帯などを理解した上で問い合わせることをおすすめします。
また相手にとっては「営業時間」なので、相手の時間を頂戴しているという自覚や、営業の妨げにならないような配慮が今後のお付き合いに影響していきます。
身だしなみ、言葉遣いに気をつける
当たり前のような話になりますが、身だしなみや言葉遣いは注意が必要です。
身だしなみは見た目で自覚できますが、言葉遣いは思っている以上にできていない人が多いです。
時に、社内や先輩から指導されている方法自体が、相手に不快な思いをさせているなんてこともあります。
「うちはこんなにスゴイんだ」というアピールや、「まだ取り入れてないなんて時代に取り残されますよ」といった煽った営業は、「一体何様なんだ!?」という印象を与えます。
営業ハウツーでよく聞く「権威性のアピール」「実績のアピール」を履き違えると「偉そうな人」としか見られないので注意しましょう。
駆け引きせずに、まっすぐな信念を伝える
打算や駆け引きを意識せずに、「自社はこういうことを目指しています!」とまっすぐな思いを伝えることが、好印象への第一歩となります。
時々、「このようなことで困ってませんか?」「そうですよね?そんな時にこうだったらどうですか?」と、誘導尋問するような営業をする人がいます。
toCであろうと、toBであろうと、途中で「あ、なんか乗せられてる」と気づくと、その瞬間に気持ちが冷めてしまうものです。
営業トークのテンプレートや、YESと言わせる交渉術などありますが、「操作されている感」そのものが相手にとって抵抗感になります。
また、そういう営業トークは色んな所で聞いているものです。
そういう点からも、まっすぐな思いや信念を伝え、誠実な人なんだと思ってもらえる方がプラスに働くことでしょう。
相手目線の提案を心がける
営業に行く前に、その企業・お店のコンセプトや経営理念などを読み、その理念やビジョンの遂行に貢献できるという伝え方がいいでしょう。
また、その時に自社の理念やビジョンも伝え、相乗効果が起こせるという伝え方をすると「そういうことなら…」と言ってもらいやすいです。
時々、自社の実績アピールばかりで、顧客側の理念やコンセプトなどには触れない営業をする人がいます。
場合によっては「うちのこと調べてないよね?」というのが、相手に伝わってしまう提案をしているケースも少なくありません。
その時点で、相手はあなたのことを信用してくれることはありません。
「相手目線」を徹底し、相手のビジョン遂行のための提案をしましょう。
やみくもに紹介を依頼しない
同業者や取引先に紹介を依頼するのは得策ではありません。
「紹介する」というのは、相手にとってもリスクでもあります。
あなたが紹介先に無礼なことをすれば、紹介してくれた人と紹介先との信頼関係にも影響しますし、ビジネスマンの多くがそのリスクを理解しています。
だからこそ、ところかまわず「紹介して」と言っていると、結果的に誰からも紹介してもらえません。
まずは、先方から「紹介したい」と言ってもらえるような関係づくりを心がけましょう。
大風呂敷を広げない
営業成績はいいものの、蓋を開けてみると大風呂敷を広げた営業をしているケースもあります。
以前、とあるSNS運用代行会社が「SNSのユーザーは〇〇万人」「SNSの広告効果は〇〇万円」「過去にあったヒット事例」という一般的な話を、あたかも「自社の実績」と聞こえるような営業をしていました。
実際は、その会社は立ち上げたばかりで、スタッフも求人で集めてきたばかり。
開業当初は一気に契約をとれたものの、クレームが相次ぎ2年ほどで大赤字となりました。
時に「営業成績さえ上がればいい」「契約後のフォローは別の担当に変わるから、契約後のことは知らない」「本当は自社のサービスのことをよく分かってない。教わったことを言ってるだけ」という人がいますが、その営業方法をしていても長くは続きません。
どの業界も想像以上に狭く、横の繋がりがあるもの。
いい噂も悪い噂もすぐに広まってしまいます。
SNSで想いやストーリーを発信する
どの営業手段を使うとしても、併用しておくといいのがSNSでの発信です。
見込み客となる企業や店舗のアカウントにいいねをしたり、いち消費者としてそのアカウントを楽しむことで、顔見知りのような感覚になることができます。
そして、あなた自身も仕事への想いなどを語ることで、先方にあなたの人柄を見てもらえます。
たとえば、あなたがラッピング資材の営業をしていたとします。
そしたらプロフィール欄に「ラッピング資材の営業。スイーツ大好き」といったことを書いておき、日頃からかわいいラッピングの紹介をしつつ、スイーツが好きという発信もします。
そのなかで、ケーキ屋さんなどのアカウントにいいねしたり、シェアしたりしていると、相手はあなたがラッピング資材を販売していることや、スイーツが好きなんだということを知ってくれます。
そのお店に行って「〇〇さんのケーキ、すっごく美味しい!」という投稿をするのもいいでしょう。
自分のお店の紹介をしてくれて嫌な思いをするお店はいません。
そのような距離感で、まずは「友達のような距離感」になることを意識してみましょう。
そうすることで、先方から「普段、どんなラッピング扱ってるの?」といった話をしてくれるようになります。
注意点は、SNSで営業感を出さないこと。
繋がった瞬間に「ラッピング資材の営業をしてます!何かあったらお声掛けください!」といったメッセージを送ると、「あぁ、営業が目的なのね」となってしまいます。
また好きでもないことを「好き」ということも推奨しません。
スイーツが好きではないのに「スイーツ好き」と名乗っても続きませんし、そういう気持ちはお店や会社に一番に伝わるものです。
今回の事例で、もしスイーツが苦手であれば、「メンズギフト」に絞ってアパレルブランドのアカウントと交流するなど、ターゲットをずらしてみましょう。
あくまでも個人的に、そのお店や会社のファンであることが先方に伝わるのが成功のポイントです。
営業後のフォローが大事!
営業をした時の相手の反応である程度の結果が見える場合がありますよね。
しかし、その場合でもフォローメールは重要です。
時々、自分から営業のアポ取りをしたにも関わらず、自分が客にならないと思ったら、相手からお礼のメールが届いても無視をする営業マンもいます。
「契約がとれないと意味がない」「時間の無駄」と思っているのかもしれませんが、そういった態度こそ見られているものです。
「社長の後ろには100人の社長がいる」なんて言葉がありますが、あなたが「無い」と思ったその人の後ろにも、見込み客がたくさんいるかもしれません。
もちろん下心があると見抜かれていい結果にはなりませんが、自分から提案したならその後の連絡は返す。それが「誠実」というものです。
大手企業の営業マンや老舗店舗ほど、すごく丁寧なアフターフォローメールを送っているものです。
おそらくそういった教育をされているんだと思いますが、見方を変えると、一人ひとりの丁寧な営業によって会社自体も大きくなっていったのではないでしょうか。
<まとめ>新規開拓は信頼関係の構築が命!
新規開拓営業に大事なのは「信頼関係の構築」です。
色んな営業ノウハウがありますが、強引な営業によってイメージが悪くなっている方法も少なくありません。
「信頼関係の構築」という基本に立ち戻り、会社やお店と真摯に向き合うことで、「この人は信用できる」と思ってもらうこと。
それが新規開拓営業成功のコツといえます。