中小企業診断士は1次試験の合格率30%前後、2次試験の合格率18%前後と難関資格に位置づけられます。
合格には、各々に合わせた勉強が必要です。私は2年計画でのぞみましたが、予定通りでありながら予期せぬ合格の流れになりました。
私の体験談を紹介させていただき、ご参考になれば幸いです。
中小企業診断士を志した理由
きっかけはコロナ禍。広告業界で20年近く働く会社員で、朝~夜、土日含めて仕事が8割占める日々。コロナ禍でリモート勤務が可能になり、夜の付き合いも無くなり、時間が取れるように。長く会社員として働いてきたものの、自信を持って話せるスキルが無く、まず得意分野を伸ばそうと、キャリアコンサルタントの資格を21年に取得。相性の良いもう少し難しい資格に挑戦したいと思い、一度挫折した中小企業診断士を勉強することに決める。
挫折理由は、勉強への覚悟とビジョンを持ちきれなかったこと。あれから10年。中小企業経営者のクライアント様と話をする際、相談が広告に留まらず、多岐にわたるようになり、改めて知識を広げ経営者の力になりたいという思いを持っていたことから、覚悟を決めて勉強にのぞんだ。
- 自身が語れるスキルを身に着ける
- 中小企業経営者の役に立ちたい
- キャリアコンサルタントと相性の良い資格
1年目の勉強方法とその結果
挫折経験もあることから、少し優しそうな業界2番手の予備校へ。カリキュラムに沿ってとにかく勉強する日々。
1年合格コースを選んでいたため、ものすごい勢いで知識を詰め込み、あっという間に次の科目にいく。(科目によっては2週間で全て詰め込み)
途中で2次試験の勉強も入り、知識量に対して圧倒的に理解する時間がなかった。1次試験の直前は週40時間以上勉強をして詰め込んだ。
しかし「勉強時間=進んでいる」のではなく、理解不足で考えている時間も本当に多かった(反省)最終模試で7科目の平均点が約50点、真ん中より下のレベルで本番にのぞむこととなり、結果、中小企業経営政策と運営管理が没問繰り上がりで合格、その他の科目は不合格。上辺の暗記は通用しないということを思い知る。
1次試験の科目合格率推移(R4まで)
出典:https://jissen-c.jp/reiwa4-goukakuritu/
- 1-2割は初見の問題が出る。残り8-9割の中での6割合格なので、7割以上のレベルで過去問を解けるようにしておく。
- 過去問は最重要。法律改正、情報システムのトレンドは模試などを受けて掴んでおいた方が良い。科目合格率は年によって乱高下する可能性あり。
- 財務・会計は知識が無い方は理解に時間がかかるので、1,5年で取り組む戦略もあり。
「解き方を説明できる=真の理解」につながる。
~結果がダメでも立ち止まらない~(2次ストレート合格に大いに貢献)
1次試験不合格決定後の週末から2次試験対策が開始。多少の落ち込みはあったものの、2年計画なのでここで立ち止まっているのはもったいないと思い、2次試験を受ける方たちと一緒に試験を受けるつもりで全参加。
2次の答練ではそこまで結果は悪くなく、診断士受験において少し自信を取り戻すこともあった。あとは予備校に通っている仲間とランチに行くことを楽しみに!仲間は本当に大事!!
2年目の勉強方法とその結果
業界最大手の予備校に変え10月から2年目がスタート。テキストや講師陣に力があり、これについていけば1次は大丈夫だろうと確信、講義で財務は運動と同じ「毎日財務!」を聞いてから、その約束を守り切る。
転勤も重なり、大阪東京を往復する日々も多かったが、通っていた予備校は全国にあり、自習室も充実していたため、勉強の環境は整っていた。(トレーニング問題集やアプリも活用)理解が深まり、直前の模試はB判定で手ごたえあり。
最も悪かった企業経営理論を中心に追い込みをかける。ただ試験1日目終了時点で、自信が無かった。ここまで諦めずにやってきたこともあり「これで落ちたら割り切っていったん遊ぼう!」と腹をくくり2日目の科目に取り組む。
1次試験終了、真夏の暑い最中…、ひといきつきたくて美味しいお寿司を食べにいく。翌日の採点が不安でたまらないが、とにかく気晴らし。転勤後、初めてゆっくり外を歩き、夕日が綺麗だった…。翌日の採点の結果は…合格。
<2年目>11~7月までの7か月累計~ ※+は1年目との比較
- 企業経営理論 70点(勉強時間:約123時間) +16点
- 経済 68点(勉強時間:約151時間) +20点
- 法務 68点(勉強時間:約80時間) +16点
- 情報 68点(勉強時間:約88時間) +16点
- 財務・会計 56点(勉強時間:約220時間) +32点
~心が折れそうでも諦めない~(2次ストレート合格に大いに貢献)
1次終了後の2次試験への切り替えが辛かった。2次試験は記述式でなかなか成果が見えない。予備校の答練で20点や30点で(1年目行っていた予備校とは採点基準も問題も違い、ばっさり切られる方式)毎回心が折れそうで泣きそうな日々。9月の模試でもE判定を取り、今年の合格は無理だと考える、ただ苦労して掴んだ2次試験の舞台を無駄にするわけにはいかない、来年必ず合格するための時間として切り替えようと思い、とにかく過去問でどこまで良い解答に近づけるかをやってみる。事例Ⅳは毎日解く。
目標を合否に置かず、経営者に寄り添える良い診断士になる未来に置く。
最後の1か月はSNSもシャットアウト、自身に集中。他社模試も受験。2次特化型予備校AASの模試を受験し「素直に書くこと」が最後に分かったこと、1年目で習った予備校の先生から「きれいな文章を書こうとは思わず、出題者が『何を書かせたいのか』を読み取り、与件文の表現で解答を作成してください」という言葉をもらい、当日は迷わずに書くことができた。
- 苦しんで掴んだ2次の舞台を簡単にあきらめない。
- 最後は過去問と自分を信じる。
- 描く未来を、経営者に寄り添える良い診断士になることに置く
試験当日、与件文に沿って素直に書く、迷わない、マスを埋めきることを目標にのぞむ。事例Ⅳは、集中力が切れかけている中、最初の問題で数字のケタが細かいことで、もう無理だと思ったが、最終判断で、なるべく計算のミスない指標を選ぶ。これが最後の私の戦略となった。(欲を出さなかったことが合格につながったのかもしれない)
キセキの先へ
2024.1.11 まず合格していないという思い込みから、携帯で結果を見て「不合格」。夜に念のためパソコンで受験番号を見るとなんと「有る!!!」。一度落ちて合格した気分。点数を見るまでは「なぜ?????」としか思わず、夢の世界に居るよう。
口述試験も終わり結果を見ると「240点」で納得。診断士の神様が諦めずにやってきた自分にキセキをくれたのだと思う。試験の先の未来を見据えて、「経営者に信頼される診断士になりたい」ことが第一目標であり、合格をゴールだと思わずに勉強し続けてきたこと、これが合格につながった要素かもしれない。
これからも経営者に頼りにされる診断士を目指して、まだまだ勉強し続けます。皆さんもそれぞれの目標に向けて、モチベーションを維持し、試験を無事に乗り切ることを応援しています!!