中小企業診断士

中小企業診断士一次試験の勉強のシナジーを活かして取得した資格3選

中小企業診断士の一次試験は7科目あり、出題範囲が広いため、勉強するのも大変ですよね。7科目を勉強するために、1年間、もしくはそれ以上の年月をかけて勉強している方もいらっしゃると思います。

診断士試験の勉強は、診断士試験のためだけではなく、相性が良い関連資格を取得しやすくするシナジーがたくさんあります。今回、私自身が診断士試験の勉強を活かして効率よく取得することができた資格を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

こんな方にオススメ!
  • 中小企業診断士の資格と組み合わせて自身のキャリアを強化したい人
  • 資格取得が趣味でどんどん資格取得の数を増やしたい人
  • 仮に中小企業診断士試験から撤退しても、これまで学んできたことを無駄にしたくない人

私の診断士勉強開始前のキャリアについて

私は2009年に大学を卒業後、新卒で大手印刷会社に入社し、その後転職を繰り返しながら約11年間、法人向けの営業を行ってきました。

営業職だったため、ビジネス系の資格は特に持っておらず、漢字検定2級、色彩検定2級、パーソナルカラー検定1級、ビール検定3級といった趣味系の資格ばかり持っていました。

11年間営業を行ってきて、ようやく自分が営業に向いていないことに気づき(気づくのが遅いですね…)、転職活動を行いました。そして現在勤めている企業とご縁があり、グループ経営を行う親会社の経営企画部に配属されました。

この部署では、子会社の経営支援や業績管理、出資しているベンチャー企業の経営支援、M&A推進業務などを行っています。しかし、入社当初は経営に関する知識が全くなく、決算書も見たことがなく、営業利益と経常利益の違いすら分からない状態からのスタートでした。

何か勉強しないと会社についていけないという危機感から、ネットでいろいろ検索したことで中小企業診断士の資格を初めて知り、勉強しようと決めました。こうして中小企業診断士試験と出会い、勉強を始め、2年間で合格することができました。それでは、私が中小企業診断士試験の勉強中に取得した資格を紹介していきます。

私が中小企業診断士試験勉強中に取得した資格3選

日商簿記検定2級

どんな試験?

日商簿記検定2級は、もはや説明不要な人気資格の代表格で、ビジネスパーソンの必須スキルとして高く評価されています。「商業簿記」と「工業簿記」の2分野で構成されており、企業の経理実務に即した内容で、財務諸表の作成や分析ができる能力を証明します。

中小企業診断士試験との関連性は?

中小企業診断士試験の一次試験科目の「財務・会計」における制度会計の分野(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の作成プロセス)や会計規則、のれん、税効果会計、などにおいて、簿記の知識が問われます。また原価計算やCVPなどが工業簿記の出題範囲と重なります。二次試験の「事例Ⅳ」では直接的に仕訳を行うことはありませんが、記述問題などで簿記や会計の知識を問われる可能性があります。

勉強期間と勉強時間の比較

一般的な場合私の勉強実績
勉強期間約6ヶ月2ヶ月
勉強時間200-250時間135時間

私は簿記2級を1年目の二次試験の試験後から合格発表までの約2か月間で取得しました(2023年1月)。ちなみに、簿記3級は「財務・会計」の科目を勉強している最中(2021年11月)に並行して取得しました。

ITパスポート

どんな試験?

ITパスポートも今や定番になりつつある人気資格で、ITに関する基礎的な知識を証明できる国家試験です。社会人や学生など幅広い層を対象としており、ITを利活用するすべての人が備えておくべき知識を問うものです。

ITパスポートという名称ですが、出題範囲がすべてIT関連というわけではなく、ストラテジ分野では経営理論や生産管理、法務、財務分野なども一部出題されます。

中小企業診断士試験との関連性は?

中小企業診断士試験の一次試験科目「経営情報システム」と試験範囲がほとんど一緒であり、経営情報システムをしっかり勉強すれば、それだけでITパスポートの合格水準に達することができます。

上述したように、ストラテジ分野で経営理論や生産管理、法務、財務も出題されますが、中小企業診断士試験のレベルと比べてもかなり易しいレベルで出題されます。

勉強期間と勉強時間の比較

一般的な場合私の勉強実績
勉強期間1.5ヶ月~3ヶ月3週間
勉強時間100~180時間20時間

私は簿記2級に合格した後にITパスポートを短期間で勉強し、合格することができました。(2023年2月) テキストは一応買いましたが、パラパラ読み進めるくらいで最後までは読みませんでした。

IPO実務検定(標準)

どんな試験?

IPO実務検定(標準)はまだ知らない人が多いマイナーな資格なのではないかと思います。私も自分以外に受験している人を聞いたことがありません。

IPO実務検定(標準)は、企業の新規株式公開(IPO・上場)準備に必要な専門知識とスキルを評価する日本初の試験です。上場準備実務は会社法や金融証券取引法などの法律面だけでなく、財務面、人事労務関連など横断的な知識を必要とすることから、企業内部から上場準備を支援できる人材を育成するために創設されました。

なお公式テキストはかなり分厚く600ページありますが、標準レベルの試験範囲はその半分以下であり、やさしめな内容に寄っています。

中小企業診断士試験との関連性は?

中小企業診断士試験の一次試験科目「経営法務」における会社法、知的財産法、上場関連、金融商品取引法関連と出題範囲が重なります。

その他の科目では、「企業経営理論」における労働法規関連(労働基準法など)、「財務・会計」における損益計算書や貸借対照表の基礎的な部分が関係してきます。

勉強期間と勉強時間の比較

一般的な場合私の勉強実績
勉強期間2週間~1カ月2週間
勉強時間20~30時間13時間

私は勤めている会社が、ベンチャー企業のIPOを目指す投資ファンドにも出資をしており、ファンドの運用状況をヒアリングする業務もある関係で、非上場の企業がどのように株式上場を目指していくのかを知る必要があり、この検定を受験することにしました。こちらもITパスポートに合格した後、2年目の二次試験勉強と並行して勉強して合格しました。(2023年4月)。
ちなみに参考までに、IPO実務検定は標準の次に上級試験がありますが、上級試験はかなり難しいです。約2か月&約60時間勉強し2024年5月に上級試験に挑みましたが、あえなく惨敗しました・・・。いつか合格したいです(涙)

おまけ:その他シナジーがある資格 ※私は未受験です

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定とは企業活動における法務に関する知識を問う資格です。

企業法務に関する基礎知識を学び、法的リスクを管理するスキルを身につけることができます。

中小企業診断士試験の一次試験科目「経営法務」の会社法や知的財産法などの分野と学習内容が類似しています。

IPO実務検定よりよっぽどメジャーな法律系の検定試験ですね。

販売士(リテールマーケティング検定試験)

販売士とは、商品やサービスの販売に関する知識を問う資格です。マーケティングや販売戦略、顧客対応など、販売に関する幅広い知識を学ぶことができます。

中小企業診断士試験の一次試験科目「運営管理」の店舗販売や小売、流通の分野と学習内容が類似しています。

まとめ

一次試験は科目や出題範囲が広範囲に及び、一度に何個もの検定試験の勉強をしているような感覚になります。

勉強の末、二次試験も突破し晴れて中小企業診断士になれれば一番ですが、中にはなかなか合格できず苦しい思いをされている方もいらっしゃると思います。

私自身、もし仮に中小企業診断士試験に合格できず撤退をした時のBプランとして、これまで勉強してきたことを活かして他の資格を取ることで形に残るようにしたいとも考えていました。

今回紹介した資格だけでも複数持っていれば、ビジネスパーソンとしての価値は大いに上がると思います。ご自身の目指すキャリアに合わせて、ぜひ挑戦してみてください。

ABOUT ME
サトシン
令和5年度合格の企業内診断士。本業はグループ企業の経営企画部にて、子会社や出資しているベンチャー企業に対しての経営全般の支援、またM&A推進業務を行う。中小企業診断士試験は1次ストレート合格、2次は2度目で合格し令和6年6月に診断士登録。診断士勉強や診断士活動用のInstagramアカウントで自由気ままに投稿中。