SDGs

SDGsに取り組もう ~SDGsの概要~

「SDGs」

「エス・ディー・ジーズ」

最近この言葉を聞かない日がないくらい、よく聞く言葉になりました。街中をあるいていても、襟元に17色を配した円形のバッジをつけている方を多く見かけます。多くの企業で、SDGsに取り組んでいるということがわかります。

地球環境問題は待ったなしの状況です。ここ数年、夏になると毎年のように各地で最高気温が更新されるような状況です。また豪雨にともなう洪水や土砂崩れ、猛烈な台風による災害、冬には交通機関が止まるほどの大雪など、我々の生活も脅かされています。

貧困問題に関しては、最近「○○の貧困」という言葉を聞くことが増えました。ここでの貧困とは「その国の生活水準を下回る状態に陥っている貧困状態」、いわゆる「相対的貧困」にあたりますが、日本の相対的貧困率は先進国の中でも高くなっていると言われています。特に「子どもの貧困」が深刻で、厚生労働省が公表する国民生活基礎調査によると、「子どもの貧困率(中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合)」は、2000年以降13~16%で推移しており、問題解決には至っていないのが現状です。

このような問題に対してこれまで以上に対策を考えていく必要がある中で、SDGsへの取り組みは大企業だけが取り組むべきものではなく、個人レベルでも日々意識しつつ行動をしていく必要があります。中小企業も例外ではありません。

しかし、急にSDGsを実行しろと言われても、「お金がかかりそう」「人が足りない」などという理由で、なかなか着手できない状況かもしれません。また、「そもそも何をすればいいの?」ということで、始められないのかもしれません。

ここでは、基本的なSDGsの取り組みについて考えつつ、中小企業でも着手できる取り組み事例や、SDGsに関連する金融機関の融資制度、自治体の支援制度等についてご紹介していきます。

まずは、SDGsについての基本的な内容や成り立ちについてご紹介します。

SDGsとは何か?

そもそも「SDGs」とは何でしょう?ご存知も方も多々いらっしゃると思いますが、ここで今一度、SDGsについてご説明いたします。

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と表記されます。2015年に国連加盟全193カ国の賛成で採択されました。地球上の「誰一人取り残さない」社会を目指し、2030年までに取り組むべき17目標と、それらを達成するための169のターゲットが示されています。

貧困をなくそう
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
飢餓をゼロに
飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
質の高い教育をみんなに
すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
安全な水とトイレを世界中に
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
働きがいも 経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する
産業と技術革新の基盤をつくろう
強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
人や国の不平等をなくそう
各国内及び各国間の不平等を是正する
住み続けられるまちづくりを
包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する
つくる責任 つかう責任
持続可能な生産消費形態を確保する
気候変動に具体的な対策を
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
海の豊かさを守ろう
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
陸の豊かさも守ろう
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
平和と公正をすべての人に
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

なぜ、今取り組まなければならないのか?

そもそもなぜ、SDGsに取り組む必要があるのでしょうか。

端的に申し上げると、環境や人権といった地球上で起こっている諸問題を放置したままでは、将来的に人間の生活が脅かされ、生きていけなくなる可能性があるからです。SDGsの「S」はサステナブル(Sustainable)で「持続可能な」と表記されていますが、裏を返せば、この先の世界は「持続可能ではない」ということです。

19世紀の産業革命以降、世界は先進国を中心に、経済優先、利益追求優先で発展を続けてきました。そもそも、人類は地球上で、事前の恵みを享受しながら、その範囲内で開発を進め、今日の繁栄を築いてきました。

しかし、その生活を続けてきた結果、環境破壊が進み、日本だけでなく世界各地で気候変動の影響と思われる被害が多発するようになりました。また、経済発展の陰でその恩恵を受けられず格差が広がり、人々の間に不公平感と不満をもたらし、社会的にも不安定な状況が続く要因にもなっています。

この危機的状況を脱する上でも、共通目標を定めて取り組んで行くことが求められているのです。

ここで、SDGsに関する興味深いデータをご紹介します。

日本の食品ロスの量は、最新のデータによると1年間で約570万トン。これだけの量の食品が、食べられることなく捨てられています。国民ひとりあたり、お茶碗1日1杯分のご飯に相当します。また、捨てられた食品を焼却することによって発生する温室効果ガスは、2019年に世界で発生した温室効果ガスのうち8~10%を占めており、食品ロスは地球温暖化促進の原因にもなっているのです。

資源の利用に関しては、もし世界中の人が日本人と同じ生活をしたら、地球は約2.9個必要と言われています。天然資源が乏しい日本ですが、日本人は地球上にある資源を大量に使って生活していることになります。

このようなデータに直面すると、今スグに取りかからないと、ということがおわかりいただけるのではないでしょうか。

SDGsの成り立ち

SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択されました。地球環境や社会問題対策はSDGs採択以前にも様々な取り組みが行われていましたが、SDGsの元になったのは、2000年9月に開催された国連ミレニアムサミットで採択されたMDGs(ミレニアム開発目標)です。MDGsでは、2015年という期限を定め、8つの目標と21のターゲットを掲げました。

目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅

目標2:初等教育の完全普及の達成

目標3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上

目標4:乳幼児死亡率の削減

目標5:妊産婦の健康の改善

目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止

目標7:環境の持続可能性確保

目標8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

このMDGsについては、一定の効果がありましたが、全ての目標達成には至りませんでした。ここで達成できなかった目標が、SDGsに引き継がれています。

また、MDGsは途上国に対して先進国主導で設定した目標であり、途上国の意向が反映されていないといった問題がありました。SDGsでは、MDGsで達成できなかった目標だけでなく、気候変動対策、労働や雇用、格差の是正、平和なども盛り込まれました。さらに、SDGsは途上国だけでなく先進国も含めた包括的な目標設定となっており、企業にも大きな役割を期待されています。公的機関だけでなく、民間企業も積極的に関わることで、目標達成に近づくことができ、この先も豊かに暮らしていけるようになるのです。

ABOUT ME
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濵田 健嗣
中小企業診断士。大手鉄道会社の経理業務を長年担当し、グループ会社の会計・税務相談にも従事。現在はグループのショッピングセンターにてESを担当。現場で頑張るショップスタッフのモチベーション向上のための施策づくりに注力。