SDGs

SDGsに取り組もう ~SDGsに対する意識・取り組み状況~

最近よく耳にするようになった「SDGs」について、前回は基本的な内容や成り立ちについてご紹介しました。

今回は、SDGsに対する意識の高まり、企業の取り組み状況について見ていきたいと思います。

一般消費者側の意識

コロナ禍の影響もあるのでしょうか、ここ数年、SDGsへの取り組みに対する意識や気運が高まっているように感じます。

ここでは、損保ジャパン株式会社より7月に公表された「SDGs・社会課題に対する意識調査」の結果を取り上げます。

まずは、SDGsの認知度について。

SDGsに対する認知度は年々高まっています。今回の調査では、「よく知っている」「まあまあ知っている」と答えた人の割合は63.0%に達しました。メディアでもSDGsが取り上げられる機会が増え、企業や自治体等も発信を強化していることが要因と考えられます。

損保ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に対する意識調査」(2022年7月)より作成

また、年代別で見ると、若年層の方が認知度が高く、10代に至っては半数近くの人が「よく知っている」と回答しています。学校で学ぶ機会が増えたことが要因と考えられます。すでに若い世代にとって、SDGsや社会課題は特別なものではなく、自分たちが意識して行動しなければならないという考え方が、すでに身についているのかもしれません。

損保ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に対する意識調査」(2022年7月)より作成

次に、企業が「SDGsの達成」や「社会課題」の解決に向けて果たすべき役割ですが、最も期待することは、「社会課題の解決に資する商品・サービスの開発・提供」がと回答した人が全体の3割を超え、回答として最も多くなりました。企業の本業を通じた貢献が求められているということがわかります。

損保ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に対する意識調査」(2022年7月)より作成

また、「SDGs」の達成や「社会的課題」の解決に向けて取り組んでいる企業の製品・サービスを使用・購入したいと思っている人は、全体の6割を超えており、製品やサービスの選択基準に、SDGsや社会的課題の解決が影響していることがわかります。

損保ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に対する意識調査」(2022年7月)より作成

最後に、就職先として企業が社会をよくすることに役立っているかを考慮するかという質問に対して、「かなり考慮する」「やや考慮する」と回答した人の割合は68.4%で、多くの方がこの点は考慮するようです。また、10代、20代といった若年層ほど「かなり考慮する」と回答する割合が多いのが特徴です。就職活動もあり、意識する方が多いのではないかと推測されます。

損保ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に対する意識調査」(2022年7月)より作成

これらの結果を見ると、SDGsに対する世の中の意識や認知度は着実に高まってきており、人びとの行動にも影響を及ぼしていると捉えることができます。そして、学校教育の影響もあり、若年層の方がより意識が高いということがわかります。これから先の長い人生、決して他人事ではなく自分事として捉えているのではないでしょうか。

企業側の意識、取り組み状況

企業側のSDGsに対する意識や取り組みはどうでしょうか。

帝国データバンクが2021年に実施した「SDGsに関する企業の意識調査」によると、「SDGsの意味および重要性を理解し、取り組んでいる」あるいは「取り組みたいと思っている」と答えた企業は、39.7%で、前回調査(24.4%)よりも増加しました。一方、「言葉は知っていて意味および重要性は理解できるが、取り組んでいない」「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」と答えた企業は50.5%にのぼり、半数以上の企業が現在もSDGsに取り組んでいないことが実態として明らかになりました。

帝国データバンク「SDGsに関する企業の意識調査(2021年)」より作成

SDGsに対する企業の意識を会社の規模別で見ると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業の割合が55.1%で、半分以上の企業が積極的に取り組んでいます。しかし、「中小企業」では36.6%、「小規模企業」では31.6%と、会社の規模が小さくなるほどSDGsへの取り組みが進んでいないことがわかります。

帝国データバンク「SDGsに関する企業の意識調査(2021年)」より作成

また、中小機構が2022年1月に実施した「中小企業のSDGs推進に関する実態調査」によると、SDGsの認知度は約9割に達しているものの、理解度となると約4割にとどまり、理解が進んでいないことがわかります。

中小機構「中小企業のSDGs推進に関する実態調査 アンケート調査報告書(令和4年3月)」より作成

取り組み状況は、「すでに取り組んでいる」「今後取り組む予定である」と答えた企業が30.6%ある一方で、「今は取り組んでいないが、今後取り組むか未定」と答えた企業が全体の40.7%と最も多くなっています。「今後も取り組む予定はない」と答えた企業も28.7%と、約3割近く存在します。

中小機構「中小企業のSDGs推進に関する実態調査 アンケート調査報告書(令和4年3月)」より作成

さらに、取り組み状況と理解度の関係を見てみると、「十分理解している」「やや理解している」と回答した企業については、「すでに取り組んでいる」「今後取り組む予定」と回答した割合が58.4%と、半分以上の会社が積極的に取り組もうとしていることが伺えます。一方、「あまり理解していない」「理解していない」と回答した企業については、「今後の取り組みは未定」「今後も取り組む予定はない」と回答した割合が93.5%となっており、SDGsに対する理解度が増すほど積極的に取り組む傾向にあることがわかります。

中小機構「中小企業のSDGs推進に関する実態調査 アンケート調査報告書(令和4年3月)」より作成

調査結果を比較して

一般消費者向けの調査と企業向けの調査を比較してみると、両者共にSDGsの認知度は高まってきています。しかし、一般消費者はSDGsに対する企業の取り組みに期待するところが比較的高いものの、企業側は今後の取り組みは未定、あるいは取り組みそのものが必要ないと考える企業もあり、消費者との間にギャップが生じています。

今年も、6月から最高気温40度を記録し、7月に入り大雨による被害も発生しています。SDGsの取り組みは地球環境の問題だけではありませんが、このような状況を鑑みると、SDGsが企業に対して取り組みを求めている以上、自分事と捉え、しっかりと対応していく必要があるのではないでしょうか。

「当社だけで取り組んでも…」と考えてしまうところもあるかもしれません。しかし、まだ半数の企業がSDGsへのアクションを起こしていません。この残り半数の企業がSDGsへの取り組みを始めたら、それが世界レベルで広がったら、結果はどうなるでしょうか。目標達成に一気に近づき、貧困問題解決、地球環境改善に繋がると思いませんか?

何かできることはないか、まずは考えて見ることがSDGsの取り組みを進める第一歩です。

ABOUT ME
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濵田 健嗣
中小企業診断士。大手鉄道会社の経理業務を長年担当し、グループ会社の会計・税務相談にも従事。現在はグループのショッピングセンターにてESを担当。現場で頑張るショップスタッフのモチベーション向上のための施策づくりに注力。