補助金

設備投資に使える補助金とは?

「設備購入時に補助金って使えるって聞くけど、どの補助金に申請すれば良いのかな?」

そんな人のために、設備投資に使える主な補助金(令和4年7月時点)について紹介します。

設備投資に使える主だった補助金とは?
(令和4年7月時点)

補助金には、販路開拓や海外展開などの営業支援の補助金や、事業承継に関する補助金など多種多様な補助金があります。

また、国が実施する補助金と地方自治体が実施する補助金でも違いがありますが、ここでは国(中小企業庁)が実施する設備投資(ITツール除く)に使える補助金について紹介します。

令和4年7月時点の情報として、令和4年度に中小企業庁が実施する設備投資に活用できる補助金は次の2つです。

  1. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下「ものづくり補助金」と呼びます)
  2. 事業再構築補助金

上記、2つの補助金は設備投資を主目的にした補助金ですが、それぞれ補助金支給の主旨がことなります。

この主旨を理解した上で、主旨に則した申請をしなければなりません。

補助金名主旨
ものづくり補助金相次ぐ制度変更(働き方改革や被保険者の適応拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するため、生産性向上に資するサービスや試作の開発、生産プロセスの改善を目的とした設備投資及び、新規ビジネスモデルの構築を支援するプログラム経費の一部を支援
事業再構築補助金新規分野展開や業態転換、業種転換、事業再編またはこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援

上記以外に、生産性向上に貢献するソフトウエア(パソコンなどのITツール含む)が補助対象となるIT導入補助金がありますが、対象となる経費は事務局にIT導入支援事業者が登録したITツールの導入費用しか認められませんので、この記事では説明を割愛します。

IT導入補助金と異なり、ものづくり補助金と事業再構築補助金は特に対象となる設備の種類は規定していません。しかしながら、補助金を交付申請する設備は補助金で申請した事業以外には原則使用できませんので、他の用途で使用できるパソコンやプリンターなどは対象外となります。

補助金の額と補助率について

補助金は投資額の全額支給されるものではありません。

要件ごとに補助金支給額の最大金額と補助率が規定されています。

よって補助金を検討するに際し、採択された場合、支給される補助金の金額と補助率は確認し、資金繰りを検討する必要があります。(補助金は原則、後払いなので一旦投資額の全額の資金を準備する必要があります。)

先ほど紹介した補助金の金額と補助率は次の通りです。

各補助金とも申請枠や従業員数(役員は含みません)、事業規模で補助金や補助率が変わりますので注意が必要です。

ものづくり補助金(第11次締切分)

ものづくり補助金には5つの申請枠があり、その枠に適した計画を作成し申請しなければなりません。

申請枠名概要
通常枠革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービスの提供方法の改善設備。
回復型賃上げ・ 雇用拡大枠業況が厳しいながら、賃上げ、雇用拡大に取組む事業者が革新的な製品・サービスの開発又は生産プロセス・サービスの提供方法の改善に必要な設備投資を支援。
前年の事業年度の課税所得がゼロで常時使用する従業員がいる事業者に限り申請可能。
デジタル枠DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービスの開発又は生産プロセス・サービスの提供方法の改善に必要な設備投資を支援。
グリーン枠温室効果ガスの排出量削減に資する革新的な製品・サービスの開発又は生産プロセス・サービスの提供方法の改善に必要な設備投資を支援。
グローバル展開枠海外事業の拡大・強化を目的とした、革新的な製品・サービスの開発又は生産プロセス・サービスの提供方法の改善に必要な設備投資を支援。
※海外直接投資、海外市場開拓、インバウンド市場開拓、海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの。

申請枠ごとの補助金額と補助率は次の通りです。

※小規模事業者は常勤従業員が製造・宿泊・娯楽業では20名以下、卸売・小売・サービス業では5名以下の会社または個人事業主が該当します。

※再生事業者とは中小企業活性化協議会などの支援を受け再生計画を策定中又は済の会社です。詳しくは公募要領の別紙4を参照ください。

事業再構築補助金(第7回)

ものづくり補助金には6つの申請枠があり、その枠に適した計画を作成し申請しなければなりません。

申請枠名概要
通常枠新分野展開や業態転換、事業・業種転換等のとりくみ、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業当の新たな挑戦を支援。
回復・再生応援枠新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者が事業再生に取組む中小企業等の事業再構築を支援。
最低賃金枠最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中所企業等の事業再構築を支援。
緊急対策枠
(原油価格・物価高騰等緊急対策枠)
原油高・物価高騰等の予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中所企業等の事業再構築を支援。
大規模賃金引上枠多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引き上げに取組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業性構築を支援。
グリーン成長枠研究開発、技術開発又は人材育成を行いながら、 グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う中所企業等の事業再構築を支援。

(注)令和3年6月18日付けで策定された「2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略」において「実行計画」が策定される14分野のこと。

申請枠ごとの補助金額と補助率は次の通りです。

上記のように、事業再構築補助金は申請する枠によって条件(補助金額、補助率等)が大きく異なりますので、資金調達面からどの申請枠でエントリーするか検討が必要になります。

まとめ

設備投資など大きな資金が必要な際には補助金の活用は有効です。

しかしながら、申請する補助金(申請枠)によって補助金額の上限や補助率が変わりますので資金調達を検討するためには、どの補助金(どの枠)で申請するかしっかりと検討する必要があると言うことです。
(補助金は後払いですので投資金額の全額を一旦資金調達する必要があります。)

補助金申請時に作成する事業計画書も申請する補助金(申請枠)に準じたものでなければ採択されませんので事業計画作成時には申請する補助金の主旨を十分理解した上で事業計画を作成しなければなりません。

また、補助金の上限や補助率も募集回ごとに変化することがありますので、申請する際には応募する補助金の最新の募集要項を確認する必要があります。
(実際にものづくり補助金、事業再構築補助金とも初回の公募から変化してきておりますので・・)

とは言え、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、国も様々な補助金を支援していますのでこれを機に設備投資を検討する際には、補助金を活用することを検討されては如何でしょうか?

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青木 正典
中小企業診断士として製造業を中心に補助金申請支援、販路開拓支援、経営改善支援などを中心に支援活動を実施中。