中小企業診断士は、近年ビジネスパーソンが取得したい資格1位の人気資格です https://reskill.nikkei.com/article/DGXZQOLM095D20Z00C23A8000000/ (日経転職版2023/8/18「資格と学び直しに関するアンケート」)
中小企業診断士資格取得の目的は、経営に関する知識を体系的に学べること、唯一の国家資格の経営コンサルタント資格であることが挙げられると思います
資格取得後は、学んだ知識を勤めている企業の中で活かす「企業内診断士」の割合が多いですが、経営コンサルタントとして独立開業したい!と考えている方も多いでしょう
「独立するタイミングはいつがいいのかな」「独立診断士はどのような仕事をしているのかな」「はたしてうまくいくのだろうか」等々、期待と不安とがあると思います
ここでは、先輩中小企業診断士の生の声のアンケート結果と独立4年目筆者の経験を交えながら、「独立診断士」の実態についてお伝えします
※ここでいう独立診断士は、法人ではなく、一人で個人事業主として独立開業しているケースを想定しています
1.独立後の仕事はなにがありますか?
メインの活動領域は決まっていることが多いですが、どれか1本ではなく複合的に業務に取り組んでいる中小企業診断士が多いです
<独立診断士の仕事例>
- 補助金・助成金獲得支援
- 経営診断・経営相談
- 商工会議所・商工会からの委託業務(経営相談、事業計画策定支援など) 商工会議所・商工会について知りたい方→https://shoetreeconsulting.com/cont/shokokai_cci/
- セミナー・研修講師
- ITコンサル、PM/PMO
- 執筆、調査レポート
- 銀行融資やリスケ支援
公的な仕事は、平日日中の時間を割けないと難しいですが、補助金・助成金獲得支援や執筆などの業務は、夜間や休日を使って対応することが可能なため、独立を目指して企業内診断士として経験を積むのに適した業務です
2.独立診断士は稼げますか?
中小企業診断士の仕事は、同業の先輩や所属団体から得られる機会があります
駆け出しの経験を積む期間では、儲かることを前提とせず、経験を積むことを重視してチャレンジするとよいでしょう
実績がないことには、高単価案件の獲得にはなかなか至りません
実績がついてきたら、受注単価を上げていくことは可能です
依頼の単価が決まっているものは、引き受けるかどうか判断することが可能ですし、プライシングを自分でする場合には、相場を見ながら、自身のスキルと鑑みてお客様に提案するとよいでしょう
ある程度実績を積んだ独立診断士は、自分の料金テーブルをもっていることが多いです
周りから前職より独立してからのほうが年収アップした、という声を聞きますので、独立診断士は稼げる可能性がある!といえます
3.独立診断士のメリットはなんですか?
収入の話に目が行きがちですが、独立診断士には以下のようなメリットがあります
- 好きな仕事ができる その仕事を引き受ける、引き受けないは自分次第。仕事、お客様は自分で選べます
- 時間の融通が利く 会社員と違って勤務時間の縛りはありません。平日に出かけても、朝ゆっくりしてもOK。週7日働いても、深夜に働いても労働基準法は関係ありません。どのくらい働くも働かないも自分次第です
- 人間関係が煩わしくない もちろんお客様や業務の委託元、診断士仲間など多くの人との関わりなしに仕事はできませんが、上司・部下という関係はありません
- 社長である 一国一城の主です。すべて自分の責任で行う醍醐味があります
4.独立する時期はいつがよいですか?
アンケート結果によると、診断士登録以前からというダブルライセンスや家業などで元々起業している方以外では、診断士登録から1年超3年以内がボリュームゾーンです
私も3年目を迎える前に独立をしました
「いつかは独立を」と思っていましたが、当時の仕事も会社も好きだったので辞めるきっかけがありませんでした
背中を押してくれたのは、お世話になっている大御所の先生から「あなたは3年以内に独立しないと、その先しないと思うよ」と言われた言葉でした
3年という期限を意識し、企業内診断士で副業の時間とのバランスが難しくなってきたタイミングでもありました
独立のタイミングや決意に至ったパターンとしては、周りを見回すと以下のような感じです
- 独立を目的に資格を取得し、取得後すぐに独立。独立して仕事をしながら経験を積む
- 企業内診断士として副業のような形で実績を積み、独立していけそうと思ったタイミングで。資格取得後2~3年くらい
- 定年や仕事が落ち着いたタイミング。自身のライフプランに合わせて計画的に決断
- 仕事が忙しすぎてブラックな状態を脱したく、独立。自分の裁量で仕事ができて満足
- 退職にあたり、前職からの業務委託を得られる確約を得て独立。固定収入があり安心
中小企業診断士として独立開業するのは、いつでも可能です
仕事道具としてPCと机とネット環境があれば、自宅でも身軽に開業可能です
あとは税務署に開業届を出すだけです
しかし、成功させるにはある程度の実績を積んでからのほうがよいでしょう
・得意分野はなにか?
・中小企業診断士としてなにを提供できるのか?
・PRできる実績があるか?
こういったことが求められます
中には特殊スキルや前職の経験をダイレクトに活かすことができる方もいますが、
一般的な成功への道としては、やはり診断士としての経験を積んでおくほうがよいと思います
5.独立診断士として必要なスキルはなんですか?
経験のほかに、独立診断士としては以下4点のスキルが大事です。
- 業務品質、納期厳守は当たり前。自分自身が商品なので、この人に頼みたいと思ってもらえるヒューマンスキル
- 中小企業経営者との接点、中小企業診断士同士の繋がりが大事です。チャンスはどこにあるかわかりませんので、仕事以外の場でも人脈作りを積極的に
- 中小企業診断士同士のネットワーク作りは大切。人手が足りない時やお互いの得意分野を補完しあうこともあります。そして情報交換を積極的に行い、業界の最新情報をキャッチ
- 開業したては、請求書作成や経理処理等の事務処理はすべて自分で行わなければいけません。スケジュール管理が大事
6.独立をする前に検討すべきことはなんですか?
- 収入の見込み 年収アップできる可能性がありますが、安定的な顧問契約やマンスリー業務を何件か持たない限り、毎月の固定収入は得られません。まとまった入金が不定期にあり、月によって収入の波があることが一般的です。家賃や住宅ローン、学費など毎月必要な支出がある場合には、マネープランのシミュレーションをしておくことが肝要です
- 勤務スタイル 業務の引き受け方次第ですが、土日や夜間に稼働しなければいけない時も多々あります
- 家族の理解 家族がいる場合には、家族の理解が最も重要です。①②は家族に大きく影響しますので、よく話し合いましょう
7.診断士を取得してよかったと思いますか?
80%の人が「大変よかった」と回答
残り20%は「良かった」で、ネガティブな回答はありませんでした
その理由として「独立して仕事ができているから」「稼げるから」「仕事になったから」といった声がありました
アンケートの回答者のうち、独立診断士は20%、80%が企業内診断士ですが、企業内診断士の方々に「将来的には独立したいでしょうか?」と聞いたところ、「独立はしない」と答えた方は22%しかいませんでした
ほとんどの方は、「いつかは独立したい」「決めてはいないが選択肢として独立もある」と、より充実した診断士ライフに向けて意欲的に活動してる様子がうかがえます
まとめ
せっかく苦労して取った資格でも、5年後の更新要件が満たせず失効する人が毎年かなりいらっしゃる一方で、資格をめいいっぱい活かして充実した診断士ライフを送っている方もいることがわかりました
独立にはそんな魅力が詰まっています
中小企業診断士の資格取得で、将来の選択肢が増えます
「独立」という選択肢も遠くありません!
やってみたい気持ちがあれば、どなたでも開業できます!
先輩診断士の声を参考に、今後のご自身の診断士ライフを思い描いてみてください