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SNSとMEOを活用して、飲食店の集客アップ!

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、人々の意識は「接触」から「非接触」へと大きく変化しました。

これまで店頭看板やチラシでの集客に注力していた飲食店においても、「非接触」集客に取り組まなければ、そもそもユーザーに見つけてもらえず、来店者が減少することが想定されます。

本記事では、情報検索におけるユーザー動向のトレンドを紹介しながら、飲食店における「非接触」な集客施策を、SNSとMEOの2つの観点から解説します。

これらの施策に取り組むことで、

  • 新規顧客に、お店の存在を知ってもらうことができます。
  • 興味を持っている顧客に、お店のウリを伝えることができます。
  • 来店を検討している顧客に、信頼度の高い情報を与え集客につなげることができます。

飲食店集客におけるSNSとMEOの重要性

施策に取り組む前に、飲食店を取り巻く外部環境と、ユーザーがどのような情報収集を行っているかを知る必要があります。

これらを踏まえた上で適切な施策を打たなければ、効果は出ません。

まず、飲食店集客における現状を見ていきましょう。

飲食店集客の現状

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、飲食業界は大きな影響を受けました。時短営業や営業休止といった店舗運営の根幹を揺るがす事態はもちろん、テイクアウトやデリバリーサービスといった新たなビジネスモデルの浸透も一気に進んだ感があります。

このように飲食店を取り巻く環境が一変する中で、集客施策においても変化が見え始めています。

従来、飲食店における集客施策といえば、真っ先に挙げられるのがグルメサイトへの掲載です。

「食べログ」「ぐるなび」といったサイトは、飲食店検索においてスタンダード化しており、サイト内の評価はユーザーの意思決定に深い影響を与えてきました。

そのグルメサイト全盛の風向きが変わってきたのは、2020年。グルメサイトに対価を払うことでサイト内の高評価が得られる、といった報道が世間を賑わせました。

口コミという信用で成り立っていたグルメサイトは、ユーザーから存在意義を疑問視されることとなってしまったのです。

情報収集行動の現状

続いて、ウィズコロナ時代におけるユーザーの情報収集について見ていきましょう。

飲食店の集客に重要な「AISAS」モデル

皆さまは「AISAS」という言葉をご存知でしょうか?

「AISAS」は、

  1. Attention(注意)
  2. Interest(関心)
  3. Search(検索)
  4. Action(購買)
  5. Share(情報共有)

の頭文字を取った言葉で、インターネット時代におけるユーザーの購買行動モデルを現しています。

この考えはネット通販だけでなく、リアル店舗を持つ飲食店においても同様です。

あるサービスにおけるAISAS行動モデルについて、説明しましょう。

ユーザーの注意を引くことでそのサービスを認知し、情報に共感することで関心を示します。関心が深まると他サービスとの比較検討を行うために検索を行い、最終的に購買(来店)に至ります。そこでの体験に満足すると、SNSや口コミサイトにて情報共有を行います。

この一連の流れが、インターネット時代における典型的なユーザーの購買行動モデルと言われています。

「ググる」「タグる」「タブる」が飲食店集客の最新トレンド

また、近年注目される購買行動としては、「ググる」「タグる」「タブる」といった検索行動が挙げられます。

「ググる」:Google等検索エンジンでのキーワード検索

既に一般ワード化した感もありますが、インターネットにおける検索エンジンでのキーワード検索のことです。狭義にはGoogle検索を指しますが、広義にはGoogleに限らず広く検索エンジン全般で検索することを意味します。

「タグる」:Instagram等SNSでのハッシュタグ検索

「#(ハッシュマーク)」を入れたキーワードを「ハッシュタグ」と言います。InstagramやTwitter等SNSにおける「タグ」として利用されており、検索性に優れ、情報共有のツールとしても使われています。

そんなハッシュタグを使ってSNSで情報検索することを「タグる」と呼びます。

日本は世界の中でもハッシュタグ文化が進んでおり、日々新たなハッシュタグ投稿が生まれています。

「タブる」:Instagramの発見タブ検索

発見タブとは、Instagramのアルゴリズムがユーザーの興味関心を分析し、その人に合った情報をカスタマイズして発信してくれる機能です。その発見タブを使い、ユーザーが自分に必要な情報を見つけることを「タブる」と言います。

現在、Instagramでの情報発信においては、この発見タブにいかに表示させるかがキーとなっており、ここに載ると載らないとでは、ユーザーへのリーチ数に大きな差が出ると言われています。

Instagramの発見タブ。自分に合った投稿が自動的に表示される
Instagramの発見タブ。自分に合った投稿が自動的に表示される

これらユーザーの新たな検索行動に対して、「ググる」にはMEO対策が、「タグる」「タブる」にはSNS、特にInstagram対策が重要です。

AISASモデルと検索行動の関係

次章では、上記のような集客の現状とユーザー動向を踏まえ、具体的にどのような施策を打っていけば良いのかを解説します。

飲食店の集客施策① SNS活用

SNS活用と言っても、複数の媒体を使えば良いというものではありません。本記事では、飲食店が取り組むべきSNSとして、Instagramを推奨いたします。

SNS活用の方法

Instagramは飲食店向き

「SNSの情報をきっかけに、初めて利用するお店(小売店・飲食店)に実際足を運んだことがあるか?」という質問に対し、「ある」と答えたユーザーの割合が一番高いSNSがInstagram、という調査結果があります。

(2022年アライドアーキテクツ社調べ。出典:https://smmlab.jp/article/research-data-about-instagram-users/

Instagramは写真や動画がメインの媒体であり、視覚的にお店のイメージや世界観を伝えることに長けています。

まずはユーザーにお店の存在を知ってもらうことが重要ですので、「美味しそうだな」「オシャレなお店だな」と思わせる投稿ができれば、ユーザーの来店意欲を高めることが可能になります。

他にも、情報の拡散性やリアルタイム性に強みを持つTwitterや、実名制に基づく信頼度の高さが強みのFacebook、Z世代に圧倒的なリーチを誇るショート動画専門のTikTok等、特徴のあるSNSはたくさんあります。

もちろん、これら複数の媒体を使って情報発信することで、より多くのユーザーへ情報を届けることは可能です。

ただ、SNSは媒体によって発信する情報の向き・不向きがあるため、媒体を増やせば増やすほど、媒体に合った投稿を作る必要が出てきてしまい、情報発信のコストが上がってしまいます。

ですので、まずは一番効果の高いInstagramに注力し、慣れてきたら他の媒体を増やしていく、のが取り組みやすい施策であると言えます。

お店の雰囲気を伝えよう

前項でも述べましたが、Instagramは視覚的な情報を伝えることが得意な媒体です。

飲食店においては、情報発信の内容として店舗の外観や内装、メニュー等があり、視覚に訴える内容と親和性が高いです。

ユーザーが来店した際のイメージが湧く写真や動画を投稿しましょう。

その際は、「投稿の世界観を統一する」ことに注意してください。意味合いとしては2つあります。

①投稿テーマを統一する

今日はこだわりのランチメニュー、明日は店長の飼い猫、次の日はスタッフが旅行先で撮った景勝地の写真・・・

これでは、このアカウントは一体何を伝えたいのかが、ユーザーからは全くわかりません。Instagramを使って何がしたいのか。アットホームな雰囲気を伝えたいのか、食材のこだわりと色彩豊かなメニューを知ってもらいたいのか。目的をしっかり定めた上で、日々の投稿を考えましょう。

②投稿のトーンを統一する

メニュー中心の投稿、という運用方針を決めたとしても、撮影する場所や時間によって、写真の色味やトーンは異なってしまうものです。ユーザーはアカウント全体の投稿の雰囲気が好みであるか否かを、シビアに判断します。写真を投稿する際は、なるべく似た色調になるように注意しましょう。難しい場合は、Instagramの投稿時にトーンを調整するフィルター機能がありますので、それを使ってアカウントの雰囲気を作っていきましょう。

参考にしたい事例としては、ブルーボトルコーヒーが挙げられます。

店舗の内外装やメニュー中心の投稿を行っているアカウントですが、写真は白基調のナチュラルなトーンでまとめられていて、店舗のやわらかく洗練された雰囲気が良く伝わってきます。

SNS活用のメリット

①自社のことを知らないユーザーにも情報を届けやすい

従来のWebサイトだと、能動的に情報検索してくれるユーザー以外へアプローチするには、広告を出したり、サイト内での表示順位を上げたり、といった施策が必要でした。

これらは、もちろん一定のコストがかかります。

一方、SNSは、情報の拡散性に優れるTwitterや、興味関心セグメントでの精緻な情報発信に優れるInstagramなど、自社のことを知らないユーザーへのリーチがしやすいアルゴリズムを備えています。

例えばInstagramなら、発見タブに情報が表示されることで、自社サービスに興味を持ってくれそうなユーザーの目に触れさせる機会が増える、といった具合です。

②信頼できる第三者の口コミを誘発できる

既存のグルメサイトと違い、SNSはユーザーの生の声がダイレクトに反映されます。ハッシュタグやUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用し、第三者の口コミを誘発することで、自社発信の情報だけでは得られない客観性を持った信頼度の高い情報が蓄積できます。

そのためには、自社のサービスを磨き上げる努力はもちろん必要になることを忘れないようにしてください。

③無料で、今すぐ始められる

SNS自体は、基本的に利用料もかかりませんし、やろうと思えば今すぐに始められます。定期的な運用には人的リソースが必要になりますが、手軽に取り組めるのは、中小企業や個人事業主にとって大きな利点と言えます。

SNS活用のポイント

SNSが特に効果を発揮するのは、AISASにおけるAttention(注意)と、Interest(関心)の2フェーズです。

①Attention(注意)=注目・認知を高める

このフェーズでは、自社の存在やサービスを知らないユーザーに情報を届けることが必要です。ある程度大まかな興味関心を持っているユーザーであれば、能動的に情報をキャッチしてくれるかもしれませんが、大多数は自社のことを聞いたこともない状態でしょう。

Instagramの発見タブは、自社の投稿に興味を持ちそうなユーザーに、自動的に投稿を表示してくれます。自社アカウントをフォローしていないユーザーにも情報が届くので、潜在顧客の獲得ができます。

自社の投稿を発見タブへ表示させるには?

簡潔に言うと、「発信元が信頼度の高いアカウントであり、その投稿が有用なコンテンツであること」です。

具体的な手法は明かされていませんが、一般的には以下のような点が重要視されていると言われています。

  • 投稿に対するエンゲージメント(いいね、コメント、保存等)の「初速」
    投稿後、一定期間内のエンゲージメント数が多ければ多いほど、良い投稿として判断されやすくなります。
  • アカウントのアクティブ度
    投稿やユーザーとのコミュニケーションを定期的に取っているアカウントは、信頼度の高いアカウントと判断されやすくなります。
  • 投稿の情報の正確性
    投稿数が多いからと言って、投稿に全く関係のないハッシュタグを付けると、その投稿の信頼度は著しく下がります。よって、誠実な投稿を心がける必要があります。

②Interest(関心)=興味・関心を高める

このフェーズでは、自社のことをもっと知りたいと思うユーザーに、興味・関心を引くような情報を提供する必要があります。

ユーザーは能動的な情報検索を行いますが、ここで重要となるのは「トレンド」と「第三者の口コミ」です。

その点において、リアルタイム性や信頼度の高い口コミを得られる媒体は、SNSしかありません。

中でもハッシュタグは、興味関心のカテゴリにおいて、ある種のコミュニティを形成していると言っても過言ではなく、ユーザーの興味関心からの深掘りがしやすい機能です。

自社オリジナルのハッシュタグを生成することができれば、より効果的な顕在顧客の育成が可能になるでしょう。

オリジナルハッシュタグの生み出し方としては、UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)の促進が挙げられます。

UGCは企業や組織ではなく、一般ユーザーがSNSに投稿するコンテンツ全般を指すため、客観性が高く、口コミとしての価値も高い投稿です。

来店者がSNSに投稿する際に、指定のハッシュタグ(例えば、#店舗名など)を付けて投稿してもらうよう呼びかけを行うことで、自店舗にまつわる情報がそのハッシュタグに溜まっていきます。

参考事例として、ケンタッキーフライドチキンの「#ケンタフォト」が挙げられます。

これはユーザーがケンタッキーフライドチキンの写真を投稿する際に、ハッシュタグ「#ケンタフォト」を付けて投稿するよう呼びかけています。投稿写真は公式アカウントでリポスト(ユーザーの投稿を再投稿すること)されるため、公式アカウントで自投稿が紹介されるというユーザーの承認欲求を満たすことで、「#ケンタフォト」投稿を促進する施策となっています。

『「ググる」「タグる」はもう古い!今のトレンドは「タブる」だ!』

このようなWeb記事をよく目にしますが、「ググる」「タグる」と「タブる」はそもそも性格が異なります。

「ググる」「タグる」は、ユーザーが意図を持って検索する能動的な行動であり、そこには明確な興味や意志が存在します。

一方「タブる」は、Instagramの発見タブでレコメンドされる情報を取捨選択して受け取るという受動的な行動であり、ユーザーの関与度合いには差があります。

飲食店の集客施策② MEO対策

インターネット検索において、地図情報がユーザーの目に触れやすくなっています。

飲食店に代表される店舗ビジネスでは、地図アプリ検索での上位表示を目的とするMEO対策の重要度が高まっています。

MEOとは?

MEO=Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略です。主にGoogleマップ等の地図アプリ検索で上位に表示されるための取り組み、を指します。

近年、Google検索においては、各種グルメサイトや自社ホームページ(HP)等のSEO=Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)対策より、Googleマップ等のMEO対策が上位に表示されるようになっています。

Googleマップ上には、Googleビジネスプロフィールと呼ばれる店舗情報が表示されます。この情報を漏れなく登録し精度を高めることで、Googleマップ上に優先的に表示されるようになり、より多くのユーザーへ情報を届けることが可能になります。

ローカルSEOとMEOの違いは?

ローカルSEOとは、Google検索やGoogleマップ検索において、特定の地域に特化したSEOのことです。つまり、「銀座 カフェ」や「池袋 美容院」のような特定地域のキーワードを含む検索において、上位表示させる取り組みのことです。

MEOがマップ最適化に特化した施策とすると、ローカルSEOはMEOも含んだWebサイト全般の最適化施策と言えるでしょう。

Googleビジネスプロフィールを充実させよう

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)とは、Googleが提供している無料の店舗情報管理ツールです。

Google検索やGoogleマップ検索に表示される店舗情報を登録できるため、次世代のホームページ(HP)と言われています。

Googleビジネスプロフィールには、店舗の所在地や電話番号、営業時間といった基本情報に加え、商品やイベント情報、口コミ等が掲載できます。

Googleビジネスプロフィールの設定はこちら

Googleビジネスプロフィールの検索順位は、以下の3つの要素で決定されています。

  • 関連性
  • 距離
  • 視認性の高さ

一つずつ、詳しく見ていきましょう。

①関連性

検索ワードとビジネスプロフィールの内容が合致する度合いを指します。

そのため、ビジネスプロフィールの項目を全て正確に入力することや、検索ワードを意識した情報発信、良質な口コミの醸成を図ることで、関連性を高めることができます。

②距離

検索ワードで指定された地域や、検索したユーザーの所在地からの自社ビジネスの所在地までの距離を指します。

これは、自社側でコントロールすることはできません。

③視認性の高さ

自社ビジネスの知名度を指します。オンライン上での知名度を高める施策としては、自社HPや外部Webサイト、SNSにおいて、自社ビジネスへの言及を増やす(=サイテーションの獲得)ことや、口コミ数を増やすこと等が挙げられます。

先述のAISASモデルにおいては、「Search(検索)」に対応する施策と言えます。

このフェーズになると、ユーザーはより客観的且つ信頼度の高い情報を求め、各社のサービスを比較検討します。

その際に閲覧されるのは、「タブる」や「タグる」で収集するSNS上の第三者の口コミではなく、「ググる」で上位に表示される自社発信の正確な情報です。

まとめ

ユーザーの情報検索行動は多様化しており、どれか一つだけやれば良い、という時代ではなくなっています。

今回紹介した「タブる」「タグる」「ググる」の3つの検索行動と、「AISAS」というインターネット時代の購買行動モデルを念頭に置き、各フェーズにおいて最適な情報発信を行うことで、集客力を高め売上アップに努めていきましょう。

ABOUT ME
佐合 和行
中小企業診断士、上級SNSエキスパート。大手印刷会社にて、企業のSNS戦略・運用を中心としたデジタルマーケティング支援や、セールスプロモーション支援に従事。また、自社主催のSNSセミナーでは、スピーカーとして登壇実績多数。