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中小企業もRPAの導入で業務効率化を!RPAでできること、メリットを解説

RPA

最近、この言葉を耳にすることが増えてきました。

RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上で行う業務をロボットで自動化する技術のことです。企業の業務改善や生産性向上、働き方改革などの影響もあり、注目度が高まっています。

しかし、「RPAは予算と人員に余裕がある大企業が使うもの」とお考えの中小企業の経営者は多いのではないでしょうか。RPAの活用によるメリットは、どのように活用するかをしっかりと検討すれば、決して大企業だけのものではなく、中小企業でも享受することができます。

ここでは、RPAとはどのようなものか、導入で何ができるのか、導入のメリットなどについて、簡単にご説明します。

RPA導入のイメージ

RPAが業務改善や生産性向上につながるとは、どういうことでしょうか。

例えば、毎日毎日帳票の入力作業に一日の大半をとられ、残業も多いとします。この入力作業をRPAに置き換えることで、単純作業から解放され、空いた時間を他の付加価値の高い業務に振り向けることが可能になります。業務も効率化しますので、残業も減り、生産性向上も期待できるのです。

    入力作業はロボットに任せ、空いた時間は付加価値の高い業務に注力

なぜ中小企業でRPAを導入すべきなのか

そもそも、なぜRPAを中小企業も導入を検討すべきなのでしょうか。そこには、中小企業特有の事情があります。

(1)慢性的な人手不足

中小企業は、業種による不足感の差はありますが、全体的に慢性的な人手不足の傾向が続いています。図1の資料によれば、2014年度以降、すべての業種で人手不足となっています。

また、日本の総人口は、2005年以降減少に転じ、減少幅も拡大傾向が続いています。生産年齢人口に関しては、それよりも早く、1990年代半ばからすでに減少が始まっています。少子化の進行も加速しており、このような人口動態の状況を鑑みると、人手不足が改善する要素は見出しにくく、継続していくものと考えられます。

図1:業種別に見た、従業員数過不足DIの推移

出典:中小企業白書 2022年度版

(2)低い労働生産性(大企業と比較して)

日本の労働生産性は、諸外国と比較して低いと言われています。2020年度はOECD加盟38国中28位です。

日本国内における労働生産性について、中小企業は大企業によりも低いことがわかります(図2)。日本の法人のうちおよそ97%は中小企業です。したがって、日本の労働生産性を高めるためには、中小企業の労働生産性を高めることは必須であると考えられます。

図2:企業規模別に見た、従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移

出典:中小企業白書 2022年度版

(3)日本におけるRPA普及率

ところで、企業でRPAはどの程度普及しているのでしょうか。

MM総研「RPA国内利用動向調査2022」によると、年商50億円以上の企業では導入率45%と、およそ半数の企業で何らかの形で導入が進んでいます。一方、年商50億円以下の企業では導入率12%となっており、年々伸びてきているとはいえ、大手企業に比べるとまだまだ普及には至っていない状況です。

しかし、今後普及が進めば、中小企業における人手不足を解消し、労働生産性を高める可能性は十分にあるのではないでしょうか。

RPA導入でできること、向いていること

RPAは、どのような業務に向いているのでしょうか。

(1)定型業務

定型業務とは、その業務の開始から終了まで手順が決まっている業務です。もし、社内にマニュアルが定められ、それを見れば誰でも対応できるような業務であれば、比較的容易にRPAに置き換えが可能です。

例を挙げると、請求書の発行、メールの送信、データ入力業務などがあります。ただし、これらの業務がすべてRPAに置き換えられるとは限りません。あくまでも業務が定型化しているものに限りますので、人の判断が必要となるプロセスが含まれる場合、対応できません。

(2)データ収集・分析業務

RPAは単純な動作を繰り返す作業に向いているため、データ収集や分析にも活用できます。単純作業とはいえ、データを収集して分析をするためには、時間を要することが多いです。RPAを使えば、この一連の業務をボタンひとつで行うことが可能です。

RPA導入ができないこと、向いていないこと

一方、RPA導入に不向きな業務とは、どのような業務が該当するでしょうか。

RPAは、単純業務をロボットに置き換えることが得意分野ですので、その反対、複雑な業務や、判断を必要とする業務には不向きです。

日々の業務で何かトラブルが発生した場合、人間である私たちは、どうすれば解決するか対応策を考えたり、関係者と調整したりします。しかし、RPAはそのようなことができず、トラブルが起きると、止まったままになってしまいます。流れが決まっていない業務には対応できないためです。

導入メリット

RPA導入のメリットは、どのようなものでしょうか。

(1)コスト削減

これまで単純作業に費やしていた時間をRPAが行うことで、その作業にかかっていた人件費相当を削減することができます。また、そもそも人を雇うと、採用や育成にもコストがかかります。RPAの場合、導入コストやランニングコストは発生しますが、人を雇うコストに比べるとはるかに安価で済みます。

(2)生産性向上

RPAの導入により、機械で対応できるような単純業務から解放されます。たとえ1日にわずかな時間であっても、積み重ねると相当な時間になるものです。長時間を要していた場合には、長時間労働が改善されます。

また、単純作業に費やしていた労力を、他の業務に充てることができます。もともと従業員が少ない中小企業にとって、社員がより付加価値の高い業務に注力できるようになり、結果的に生産性の向上につながります。

(3)ヒューマンエラー防止

単純作業とはいえ、人間が作業をすると入力ミスが発生することがあります。そして、疲労が溜まることにより、ミスをする可能性も増えます。ミスが起こることにより、データ集約に支障が生じたり、正しい結果が得られなくなる可能性もあります。また、そのミスの原因を探るために、さらに時間を要することになります。

RPAは24時間365日稼働させることができます。フル稼働しても人間とは異なり疲労もありませんので、人為的ミスの防止に役立ちます。

導入デメリット

一方、導入によるデメリットは、以下のようなことが挙げられます

(1)システム障害リスク

RPAはITシステムであるため、他のシステム同様、サーバーダウンなどのシステム障害によりシステムそのものが停止したり、作業したデータが消えてしまうリスクがあります。稼働の際には、より安全にPPAを稼働させられる環境を用意しておく必要があります。

(2)情報漏洩リスク

RPAがネットワークにつながったサーバーにインストールされている場合、不正アクセスを受けるリスクがあります。不正アクセスにより情報を抜き取られたり、サイバー攻撃を受けアクセスできなくなる、RPAが乗っ取られるようなことが起こる可能性もあるため、セキュリティ対策を怠ることはできません。

導入に必要なコスト

RPA導入にあたり必要となるコストは、

 初期費用

 ライセンス費用

 サポート費用

などがあります。

「初期費用」は、システム導入にあたり初期設定等に要する費用で、導入時に支払うものです。「ライセンス費用」は、導入後の運用時にかかる費用で、基本的に毎月費用が発生します。「サポート費用」はシステムの保守、メンテナンスにかかる費用で、定期的に支払うものもあれば、保守サービスを利用した際、スポット的に発生するものもあります。

実際にかかるコストは、RPAを実施する範囲、規模により異なってきます。

また、RPAを導入するためには、RPAツールを選ぶ必要があります。このRPAツールには、

 サーバー型

 クラウド型

 デスクトップ型

があります。サーバー型の場合、大規模な運用に適したツールが多く、またサーバーも自社で用意する必要があることから、初期費用もかなり高額になります。中小企業の場合は、規模やコストの面からも、クラウド型またはデスクトップ型から始めるのが、コスト的な負担は小さくなり、適していると言えます。

費用対効果の検証(コストの算出)

RPAの導入にあたり必要なコストを確認しましたが、RPA導入によりかかるコストよりも、これまでかかっていた人件費等を減らすことができるのであれば、導入を検討すべきと考えられます。

 RPAの導入により、雇っていたアルバイトを確保する必要がなくなる

 RPAの導入により、常時発生していた残業をなくすことができる

また、既存の社員が勤務時間内でこなしている業務でも、RPAの導入により空いた時間をより付加価値の高い他の業務に充てることができるのであれば、この部分も削減効果と考えるべきです。

例えば、前日の注文内容を記録簿へ転記する業務に、毎日3時間かかっているとすると

 2,000円(時給)×3時間×22日(1か月の稼働日数)×12か月=1,584,000円(年間)

となります。もしRPAの導入により発生するコストがこの額を下回るのであれば、導入を検討する価値はあるのではないでしょうか。

具体的な進め方

(1)どの業務を「自動化」するのかを明確に

まず、どの業務をRPAに置き換えるのかを明確にする必要があります。置き換えを想定している業務のフローを確認し、置き換えが可能かどうか分析する必要があります。RPAは判断を要する業務やイレギュラー事項が発生する業務には導入できません。

(2)時間のかかる単純業務から始める

置き換えに際しては、日常的に発生する単純業務だが、時間や手間がかかっている業務から始めるのがいいでしょう。従業員から時間がかかる単純業務から解放されれば、その時間をより重要な業務に充てることができるようになり、高い効果を得られるようになります。削減できる時間を別のどのような業務に充てるのか、事前に明確にしておくと、今後の事業の取り組みを考える上でも役に立ちます。

(3)スモールスタートを意識する

RPAを導入しても、導入初期段階では予期せぬトラブルが発生することがあります。また、導入したものの思ったほどの効果が得られなかったり、別の問題が発生しないとも限りません。対象の範囲を大きくすると、対象が増加したり、連携する項目が増加したりと、トラブルが発生するリスクも高まりますし、そのトラブルを修正するため、原因の特定など相当労力を費やすことになります。

まずは、対象部門を限定するなど、トライアルとして小規模な範囲からスタートするのが賢明です。そこで使い勝手の確認や、導入による効果検証など、具体的な効果を確認してから、採用範囲を拡大していくのがよいのではないでしょうか。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

すでに人員不足に悩んでいる会社だけでなく、今は人員も足りているが、今後の人手不足に備えたい、今の業務をもっと効率化したいと考えている会社にとっては、一度RPAの検討をされてはいかがでしょう。導入には費用が発生しますが、その費用を上回る効果を得られるのであれば、導入する価値は大いにあると思います。

ただし、導入したもののうまくいかなかった事例もあります。RPAツール導入にかかる費用もそれぞれ異なりますので、RPAの導入で効果を得るために、まずはRPAを使って何をしたいのか、誰(部署)が使うのか、RPAに業務を移管した後は、そこにかかっていた人員をどの業務に振り向けるのかなど、まずはその検討から始め、規模にあったRPAツールを選定しましょう。

ABOUT ME
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濵田 健嗣
中小企業診断士。大手鉄道会社の経理業務を長年担当し、グループ会社の会計・税務相談にも従事。現在はグループのショッピングセンターにてESを担当。現場で頑張るショップスタッフのモチベーション向上のための施策づくりに注力。